環境問題は「待ったなし!」のステージに入っている。
中でもプラスチックは、近年、海洋プラ問題、マイクロプラ問題を受けて新たな局面に入りつつある。市場、技術ともに急激に変化しつつあり、環境問題の専門家以外にはわかりづらい展開になりつつある。
そこで、カワサキテクノリサーチでは、プラスチックの環境問題、およびバイオプラスチックに関して、全体を俯瞰し、どこに大きな変化が現れているのかを明確化することによって、関係者のビジネスに資する資料集を急遽発行することを企画した。
もちろん、過去にもバイオプラ(バイオマスプラと生分解性プラ)は何回かクローズアップされてきた。しかし、拡大生産者責任の浸透と、ESG投資をはじめとする市場の変化により、プラスチックのユーザーであるB2Cブランドオーナーの、それも経営者の意識が大きく変化したことが、今回特筆すべき「市場の変化」ととらえている。
この市場の変化にタイミングを合わせ、優れた性能を持つ国産の海洋生分解性プラが市場に出現、歓迎されている一方、生分解性プラも少子高齢化で人材が不足しがちな土木、農業分野を中心に、回収コスト、リサイクルコストを省きトータルコストダウンを図れるメリットがようやく浸透し着実に成長を遂げている。
バイオマスプラのコスト競争力は、究極的には「農業の競争力」とみなせるので、日本他の技術を活用した農業強国からの輸入が増えていることも最近の特徴である。商社の果たす役割が以前より大きくなってきている。
ビジネスにとって変化はチャンスでもあり、リスクでもある。市場に大きな変化が起こりつつある今、カワサキテクノリサーチの総力をあげたこの資料集が、皆様のビジネスに資することを願ってやまない。
第1章 はじめに
第2章 まとめ
第3章 バイオプラ 、 バイオマスプラ 、 生分解性プラ概要
1)定義
2)バイオマスプラの市場
3)バイオプラの認定
4)過去の経緯
5)国内入手可能なバイオプラ
第4章 市場の変化
1)ニーズの変化
2)拡大生産者責任の浸透
3)ESG投資と経営者の意識変化
4)ESG投資とプラスチック
第5章 プラ ユーザー(ブランドオーナー)の変化
1)シングルユース(食品メーカー等)
2)PETボトルの重要性と飲料メーカーの対応
3)即席麺メーカー
4)化粧品メーカー
5)組立製品(電気電子)
6)組立製品(自動車)
7)インフラ(電気、ガス、水道)
①電力
②ガス
③水道
第6章 国の動き、公的支援
1)国の方針
2)グリーン購入法
3)助成
第7章 プラスチックのリデュース
1)PETボトルの例
第8章 プラスチックのリサイクル
1)PETボトルのリサイクル
①ボトル to ボトルリサイクル(メカニカルリサイクル)
②ボトル to ボトルリサイクル(ケミカルリサイクル)
2)アクリル (PMMA 等)のケミカルリサイクル
3)ポリスチレンのケミカルリサイクル
4)混合プラのケミカルリサイクル(欧州)
5)混合プラのケミカルリサイクル
6)複合プラのカスケードリサイクル
7)複合プラのモノマテリアル化
8)複合プラの剥離・リサイクル技術
第9章
バイオマスプラスチックの動向
1)化石資源由来プラをバイオマス化
2)バイオマス化で有利な品質を獲得
3)生分解性プラのバイオマス化
第10章 生分解性プラスチッ クの動向
1)バイオマスプラと生分解性プラ
2)主な生分解性プラ
3)ポリ乳酸(PLA)
4)PHBH
5)PBS
6)PBAT
7)PEF
8)生分解性プラの用途
①農業用マルチングフィルム
②土木シート(地盤)
③植生シート(法面等)
④土のう
⑤土木用パイプ、チューブ
⑥ドレーン材(地盤改良)
⑦フラックプラグ(シェールオイル掘削用)
⑧シードテープ
9)生分解ではないがPLAの特長を活かした用途
10)PLA新技術の開発
11)課題
12)今後