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先端技術・ヘルスケア
( A013 )

RGB3原色・白色光レーザーの開発

RGB3原色・白色光レーザーの開発

【監修】
電気通信大学 教授 植田憲一
准教授 西岡 一

発刊日
2007年07月30日
体裁
B5判上製本 347頁
ISBN
978-4-903413-23-5
Cコード
3058
価格(税込)
59,400
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冊数:
PDFパンフレット(A013 書籍「RGB3原色・白色光レーザーの開発」)

著者リスト

阿山 みよし 宇都宮大学
植田 憲一 電気通信大学
岡田 龍雄 九州大学
藤井 寛一 茨城大学
Xiaopen Hu 南京大学
Shining Zhu 南京大学
泉 和宏 千歳科学技術大学
北谷 雅人 千歳科学技術大学
花村 榮一 千歳科学技術大学
宅間 宏 電気通信大学
原田 明憲 富士写真フイルム(株)
西澤 典彦 大阪大学
白川 晃 電気通信大学
小林 孝嘉 電気通信大学
西岡 一 電気通信大学
中川 賢一 電気通信大学
美濃島 薫 産業技術総合研究所
春名 正光 大阪大学
小林 洋平 産業技術総合研究所
藤田 雅之 レーザー技術総合研究所
岸野 克巳 上智大学
水内 公典 松下電器産業(株)
天野 浩 名城大学
興 雄司 九州大学
佐久間 純 サイバーレーザー(株)
須田 清志 シグマ光機(株)

趣旨

<書籍「はじめに/植田憲一、西岡 一」より: 掲載内容の理解に是非ご一読ください>
白色レーザーがテーマである。読者の中には、レーザーはスペクトルが単色なのでコヒーレントになり、紫から赤まで広がったスペクトルをもつ光ではコヒーレンスを持ったレーザー光などあり得ないのでは、と思われる方もいるだろう。レーザーが発明された直後では、互いに矛盾する概念に見えたレーザーと白色光を結びつける白色レーザーは、従来とは異なった応用が期待できる新しいレーザーの分野である。
身の回りに目を転じると、白色LEDで懐中電灯が代替されつつある現代である。レーザー光を蛍光体に当てて、強力な白い光ができれば便利だと感じる方もいるだろう。さらには、愛知万博などで展示されたレーザープロジェクターでは、現在の薄型テレビよりもさらに鮮明な色再現が可能で、どんな色でも再現できるレーザーこそ白色レーザーそのものだ、という考えもある。レーザーの発展の中で、光の発生から利用まで、様々な分野でレーザー技術を使って白色光を発生することが進んでいる。単色性を特徴としたレーザーから、幅広い連続スペクトルを特徴とした白色レーザーを実現するには、単純なレーザー発振器だけではなく、必要な条件を可能にする原子のエネルギー準位や非線形光学素子による波長変換、波長領域の拡大が重要となる。今回は、最先端の分野で活躍されている研究者の方々にお願いして、白色レーザーの現状とその特長、さらに発展方向について執筆を頂いた。
最初に、“色”についての考察をお願いした。赤(Red)緑(Green)青(Blue)などは光の3原色であり、それらを組み合わせれば、どのような色も再現できる。しかし、我々の目からすれば黄色(Yellow)の光が、単色の黄色い光か、それとも3原色を組み合わせて黄色く見えている光かを区別することはできない。白色光レーザーが単純な光源だけを議論するべき対象でないことをお伝えしたい。
RGBの3原色を発生するレーザーを組み合わせて、白色光レーザーとしたり、自然に忠実な色を再生する研究は、多用な手段を通じて実用化に向けて前進している。最初に一つのレーザー発振器からRGB3原色を同時に発振したのは、He-Cdレーザーという気体レーザーであった。レーザーの世界に最初に色を持ち込んだのは色素レーザーである。その使いにくさを、フィルム化、導波路形成など集積技術によって克服する研究が進んでいる。最近では、固体レーザーによるRGB光源の開発が盛んである。その背景には、疑似位相整合非線形波長変換の技術の大きな進歩がある。自然界には存在しない規則的ドメイン反転を作り込んだ非線形光学素子は、高効率な高調波発生、和周波発生の両者に最適条件を与えるスーパー格子デバイスに発展している。同時に、結晶特性を詳細に研究、活用すれば、人工結晶からRGB光源を生み出すことも夢ではない。
半導体レーザー光を光源として、RGB光に変換すれば、ただちにレーザーディスプレイが家庭に入る時代を生み出すと予想される。その方向に向かった研究も活発化しており、中でも新しい方式の表面発光型半導体レーザーの進歩は注目される。青色半導体レーザーの成功によって、緑色半導体レーザーへの期待が高まっている。最新のナノコラム結晶技術など、最先端半導体レーザー技術についても紹介をお願いした。
超短パルスレーザーによる高強度光電界は、強い光電界の印加によって物質の非線形性を引き出し、効率的な連続スペクトル白色光を生み出す。自己位相変調効果などによって生み出される白色光は、超短パルスレーザー光の電界により駆動されているので、たとえ周波数は広帯域に分布していても、隣り合う周波数成分の位相の変化は連続的で光のコヒーレントな性質を保っている。このような広帯域光の位相補正を行えば、超短パルス発生が可能となる。非線形結晶内の超広帯域光増幅とパルス圧縮は、数フェムト秒という極限パルス発生をも可能にしており、幅広いスペクトルと優れたコヒーレンスの両立を証明している。
屈折率分散を設計・制御可能なフォトニック結晶ファイバーからは、オクターブを越えるスペクトル広がりを持つコヒーレント白色光の発生も可能となる。周波数安定化レーザーが単一周波数連続発振レーザーであった時代は終わり、超広帯域の白色光による光コムを発生すれば、超高精度科学計測に新しい時代が生まれることも紹介する。
多忙な研究・教育の日々にもかかわらず、本書の意義を理解いただき、最先端の研究成果を分かりやすく解説いただいた執筆陣の皆様に感謝を捧げるとともに、本書がお伝えする情報が読者諸氏の活動にお役に立つことを祈るものである。

目次

<第1章 序論>

第1節 色彩と知覚
1. 色知覚とその基盤メカニズム
 1.1 色覚メカニズム
 1.2 色知覚
2. XYZ表色系と色知覚
 2.1 等色実験
 2.2 rgb表色系
 2.3 XYZ表色系
 2.4 XYZ表色

第2節 白色レーザーの種類と応用分野
1. 白色レーザーとは
2. RGB3原色レーザー
 2.1 He-Cdレーザー
 2.2 色素レーザー
 2.3 Tm-Hoアップコンバージョンレーザー
 2.4 Pr添加ファイバーレーザーによる3原色発振
 2.5 半導体レーザー
 2.6 非線形光学結晶と疑似位相整合
3. RGB3原色レーザーのディスプレイへの応用
4. 超広帯域発振レーザー
5. スーパー白色光レーザー
 5.1 スーパー白色光の発生
 5.2 スーパー白色光の応用


<第2章 3原色(多波長)白色レーザーと応用>

第1節 可視光フッ化物光ファイバーレーザー
1. 希土類添加フッ化物ガラスの光特性
2. フッ化物ガラスファイバーを用いた可視光レーザー
 2.1 Er3+緑色レーザー
 2.2 Tm3+青色レーザー
 2.3 Pr3+可視レーザー・白色レーザー

第2節 He-Cd+レーザ
1. 背景と経過
2. 白色光レーザーの原理
 2.1 負グローの活用
  2.1.1 負グローの性質(生成,移動,閉じ込め)
 2.1.2 長い光路の創製(発想の転換)
 2.1.3 レーザー管の設計原理(陰極降下理論の集大成)
 2.2 レーザー発振特性
  2.2.1 エネルギー準位図と励起機構
 2.2.2 再現色度域
 2.2.3 発振線のスペクトル純度
3. 白色光レーザーの応用

第3節 RGB固体レーザー
1. 光超構造によるRGBレーザー
 1.1 Nd3+添加2波長レーザーによる白色光発生
  1.1.1 基本波発生用レーザー
  1.1.2 非線形波長変換器
  1.1.3 2ミラー共振器Nd:YVO4 2波長レーザーからの擬似白色光発生
  1.1.4 交互共振法によるワット級白色レーザー
 1.2 光パラメトリック発振器を基にした白色レーザー

第4節 スピネル結晶を用いたRGB3原色レーザーに向けて
1. 結晶構造と結晶作製
 1.1 スピネル構造
 1.2 結晶作製方法(F-Z法)
2. 3原色の光学特性
 2.1 透過率測定
 2.2 発光スペクトル測定
 2.3 励起スペクトル測定
 2.4 時間分解スペクトル測定
 2.5 電子スピン共鳴スペクトル測定
3. 発光過程のモデル
4. レーザー発振とRGB発光を示す結晶の応用

第5節 ディスプレイ用3原色半導体レーザー
1. 白色光レーザーとは
2. 白色光レーザーに求められる条件をどのようにし満たすことができるか
3. 面発光ダイオードから高出力を取り出すことは可能か?
4. NECSEL(Novalux Extended Cavity Surface Emitting Diode)の発明
5. 高調波の発生

第6節 写真プリンタ用3原色レーザー
1. 青色,緑色SHGレーザーの種類と比較
2. 青色,緑色SHG固体レーザー
 2.1 MgO-LiNbO3ドメイン反転バルク結晶
 2.2 青,緑SHG固体レーザーの基本構造
 2.3 青,緑色SHG固体レーザーの基本特性
3. 青色導波路SHGレーザー
 3.1 MgO-LiNbO3ドメイン反転導波路素子
 3.2 青色導波路SHGレーザーの基本構造
 3.3 青色導波路SHGレーザーの基本特性
4. 青色,緑色SHG固体レーザーと青色導波路SHGレーザーの応用


<第3章 連続波長白色レーザー>

第1節 波長可変および白色ファイバーレーザー
1. 波長可変超短パルス光源
2. 超広帯域スーパーコンティニューム光の生成

第2節 連続発振超広帯域白色ファイバー光源
1. CW白色光発生の実例
 1.1 最初の報告
 1.2 超広帯域高出力CW白色光発生
2. CW白色光発生のメカニズム
 2.1 変調不安定性によるパルス形成
 2.2 白色光の帯域
 2.3 CW白色光発生用光源
3. 応用と展望

第3節 超広帯域パラメトリック増幅器
1. 超短パルスの発生の動機・目的
2. 波長可変超短パルス光発生法の簡単な歴史
3. パラメトリック効果を用いた超短パルス光発生法
4. 非平行パラメトリック増幅器
5. サブ4fs可視光パルス
6. パルス位相安定化超短パルス発生

第4節 超広帯域コヒーレント光
1. 超広帯域コヒーレント光とは
2. 空間と時間の自己位相変調
 2.1 自己束縛現象
 2.2 自己位相変調によるスペクトルの拡大
3. 超広帯域コヒーレント光の発生とその特徴
 3.1 多チャンネル自己束縛
 3.2 スペクトル
 3.3 空間・時間特性
4. 超広帯域光の応用
 4.1 広帯域非線形光学
 4.2 広帯域時間分解計測
 4.3 物質のコヒーレンス制御


<第4章 広域帯・多波長レーザーの位相制御と応用>

第1節 光周波数コムと光周波数標準
1. 光周波数コム
2. 光周波数コムを用いた光周波数測定
3. 光周波数標準
4. 高精度な光周波数標準の応用
 4.1 高分解能分光および精密物理計測
 4.2 物理基礎定数の時間変化の検証
 4.3 一般相対性理論の検証
 4.4 その他(通信,ナビゲーション,地球物理)

第2節 超短パルスレーザーによる光コムを用いた高精度距離計
1. 高精度距離計測
 1.1 光波干渉測長器
 1.2 変調光波距離計
 1.3 パルス距離計
2. コム距離計
 2.1 コム距離計の原理・特長
 2.2 装置と性能
 2.3 2色法による高精度屈折率補正
3. 時間・周波数標準にトレーサブルな距離標準

第3節 光コヒーレンストモグラフィ(OCT)
1. 低コヒーレンス光干渉とOCTの原理
2. OCTのイメージング光学系と基本特性
3. OCTの医療診断応用
4. 高分解能OCT
5. 高速OCT
6. 将来展望

第4節 光シンセサイザ
1. 光周波数とマイクロ波周波数とのギア
2. 光原子時計と光信号発生器
3. 光任意波形発生器
4. OPOによるコヒーレント多波長光源
5. 位相同期2波長レーザー
6. 光任意波形発生に向けて

第5節 白色光ライダー
1. 白色光スペクトル
2. 屋外大気実験
 2.1 エアロゾル計測
 2.1.1 多波長散乱光信号(同時計測)
 2.2 偏光解消度計測
 2.2.1 波長偏光解消ライダー
 2.2.2 3波長同時偏光解消ライダー


<第5章 白色レーザーの要素技術>

第1節 緑色半導体レーザー実現に向けて
1. 緑色発光デバイスの現状と課題
 1.1 未開拓波長域としての緑色域
 1.2 発光効率の向上への課題
 1.3 非極性面と半極性面によるピエゾ効果の抑制
2. ナノ構造効果への期待
 2.1 ナノコラムとPL発光特性
 2.2 InGaNナノコラムLED
3. Ⅱ−Ⅵ族化合物半導体によるアプローチ
 3.1 GaAs基板上の緑色Ⅱ−Ⅵ族半導体レーザーとその限界
 3.2 InP基板上Ⅱ-Ⅵ族新材料
 3.3 InP基板上Ⅱ-Ⅵ族半導体による緑色レーザーの試み
 3.3 BeZnSeTe活性層の提案
 3.4 InP基板上BeZnSeTe系LEDの長寿命特性

第2節 SHG緑色レーザー
1. 非線形光学結晶
 1.1 複屈折率位相整合材料
 1.2 擬似位相整合材料
2. 波長変換方式
 2.1 内部共振器型
 2.2 パス型
 2.3 光導波路型
 2.4 その他のSHG緑色レーザー
3. SHG緑色レーザーの応用
 3.1 レーザーを用いたディスプレイの構成
 3.2 リアプロジェクションTV

第3節 青色および紫外半導体レーザ
1. Ⅲ族窒化物半導体の結晶成長
 1.1 概観
 1.2 サファイア基板上への結晶成長
 1.2.1 サファイアとナイトライドの格子
 1.2.2 低温堆積緩衝層の効果と機構
 1.2.3 マイクロチャネルエピタキシー法の効果と機構
2. デバイス構造
 2.1 基本構造
 2.2 反射鏡特性
 2.3 横モード制御
 2.4 単一モードLD
 2.5 ビームプロファイル
3. 紫外LDの展望

第4節 導波型多色固体色素フィルムレーザー
1. 導波型固体色素フィルムレーザー
2. 波長可変域の拡大とRGB領域でのレーザー発振
3. プロセス手法の開発
3.1 ハイブリッドな多色実装へ向けた描画コートプロセス
3.2 深紫外露光とポストエッチングによる,回折格子構造の作製
4. ランダム散乱媒質を利用した高効率化

第5節 透明多結晶セラミックレーザー
1. 合成セラミック製法
2. セラミックレーザーの特長と研究の最前線
 2.1 単結晶を凌駕するセラミックレーザー
 2.2 レーザーセラミック新材料
 2.3 超短パルスセラミックレーザー
 2.4 コンポジットセラミック
 2.5 超高出力レーザー
3. ランダムレーザーと可視光源
 3.1 ランダムレーザー
 3.2 可視光発生

第6節 非線形波長変換(位相整合範囲,材料)
1. 非線形波長変換による光発生の原理
2. 有効非線形光学定数
3. 位相整合条件
4. 複屈折位相整合
5. 位相整合許容幅
6. ウォークオフ効果
7. 擬似位相整合
8. 完全位相整合におけるSHG変換効率
9. 集光ガウス型ビームによる波長変換
10. 変換効率の向上手段
11. 非線形光学結晶
 11.1 概要
 11.2 バルク結晶
 11.3 QPMデバイス
12. 非線形波長変換による三原色光発生の方法
 12.1 緑色光の発生方法
 12.2 赤色光の発生
 12.3 青色光の発生

第7節 広帯域光学素子,位相及び分散補償薄膜
1. 一般的な光学薄膜について
 1.1 誘電体薄膜
 1.2 金属膜
2. 蒸着装置説明
 2.1 抵抗加熱法(RH)
 2.2 電子銃蒸着法(EB)
 2.3 イオンアシスト(IA),イオンプレーティング(IP)
 2.4 イオンビームスパッタ7)(IBS)法
3. 位相補償鏡(無位相ミラー)
4. 分散補償鏡(フェムト秒レーザーミラー)
 4.1 低分散ミラー
 4.2 負分散ミラー
5. 超広帯域薄膜
 5.1 超広帯域AR
 5.2 超広帯域ビームスプリッター
 5.3 超広帯域ミラー
6. 今後の薄膜技術,課題


<書籍「はじめに/植田憲一、西岡 一」より: 掲載内容の理解に是非ご一読ください>

白色レーザーがテーマである。読者の中には、レーザーはスペクトルが単色なのでコヒーレントになり、紫から赤まで広がったスペクトルをもつ光ではコヒーレンスを持ったレーザー光などあり得ないのでは、と思われる方もいるだろう。レーザーが発明された直後では、互いに矛盾する概念に見えたレーザーと白色光を結びつける白色レーザーは、従来とは異なった応用が期待できる新しいレーザーの分野である。
身の回りに目を転じると、白色LEDで懐中電灯が代替されつつある現代である。レーザー光を蛍光体に当てて、強力な白い光ができれば便利だと感じる方もいるだろう。さらには、愛知万博などで展示されたレーザープロジェクターでは、現在の薄型テレビよりもさらに鮮明な色再現が可能で、どんな色でも再現できるレーザーこそ白色レーザーそのものだ、という考えもある。レーザーの発展の中で、光の発生から利用まで、様々な分野でレーザー技術を使って白色光を発生することが進んでいる。単色性を特徴としたレーザーから、幅広い連続スペクトルを特徴とした白色レーザーを実現するには、単純なレーザー発振器だけではなく、必要な条件を可能にする原子のエネルギー準位や非線形光学素子による波長変換、波長領域の拡大が重要となる。今回は、最先端の分野で活躍されている研究者の方々にお願いして、白色レーザーの現状とその特長、さらに発展方向について執筆を頂いた。
最初に、“色”についての考察をお願いした。赤(Red)緑(Green)青(Blue)などは光の3原色であり、それらを組み合わせれば、どのような色も再現できる。しかし、我々の目からすれば黄色(Yellow)の光が、単色の黄色い光か、それとも3原色を組み合わせて黄色く見えている光かを区別することはできない。白色光レーザーが単純な光源だけを議論するべき対象でないことをお伝えしたい。
RGBの3原色を発生するレーザーを組み合わせて、白色光レーザーとしたり、自然に忠実な色を再生する研究は、多用な手段を通じて実用化に向けて前進している。最初に一つのレーザー発振器からRGB3原色を同時に発振したのは、He-Cdレーザーという気体レーザーであった。レーザーの世界に最初に色を持ち込んだのは色素レーザーである。その使いにくさを、フィルム化、導波路形成など集積技術によって克服する研究が進んでいる。最近では、固体レーザーによるRGB光源の開発が盛んである。その背景には、疑似位相整合非線形波長変換の技術の大きな進歩がある。自然界には存在しない規則的ドメイン反転を作り込んだ非線形光学素子は、高効率な高調波発生、和周波発生の両者に最適条件を与えるスーパー格子デバイスに発展している。同時に、結晶特性を詳細に研究、活用すれば、人工結晶からRGB光源を生み出すことも夢ではない。
半導体レーザー光を光源として、RGB光に変換すれば、ただちにレーザーディスプレイが家庭に入る時代を生み出すと予想される。その方向に向かった研究も活発化しており、中でも新しい方式の表面発光型半導体レーザーの進歩は注目される。青色半導体レーザーの成功によって、緑色半導体レーザーへの期待が高まっている。最新のナノコラム結晶技術など、最先端半導体レーザー技術についても紹介をお願いした。
超短パルスレーザーによる高強度光電界は、強い光電界の印加によって物質の非線形性を引き出し、効率的な連続スペクトル白色光を生み出す。自己位相変調効果などによって生み出される白色光は、超短パルスレーザー光の電界により駆動されているので、たとえ周波数は広帯域に分布していても、隣り合う周波数成分の位相の変化は連続的で光のコヒーレントな性質を保っている。このような広帯域光の位相補正を行えば、超短パルス発生が可能となる。非線形結晶内の超広帯域光増幅とパルス圧縮は、数フェムト秒という極限パルス発生をも可能にしており、幅広いスペクトルと優れたコヒーレンスの両立を証明している。
屈折率分散を設計・制御可能なフォトニック結晶ファイバーからは、オクターブを越えるスペクトル広がりを持つコヒーレント白色光の発生も可能となる。周波数安定化レーザーが単一周波数連続発振レーザーであった時代は終わり、超広帯域の白色光による光コムを発生すれば、超高精度科学計測に新しい時代が生まれることも紹介する。
多忙な研究・教育の日々にもかかわらず、本書の意義を理解いただき、最先端の研究成果を分かりやすく解説いただいた執筆陣の皆様に感謝を捧げるとともに、本書がお伝えする情報が読者諸氏の活動にお役に立つことを祈るものである。